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「おかえり、薫殿」
「・・・・・」
「御機嫌斜めでござるな」
「別に」
「防具を」
「自分で運ぶわ」



「風呂が沸いているが」
「あとにする」
「なら、早めの夕食に?」
「お腹すいてないの」
「珍しいでござるな。薫殿らしくもない」
「そんなことないわ」
「普段は目を合わせてくれるはずだが」
「いいでしょ!もう放っておいて!」



「そんな顔を見ては放っておけぬよ」
「・・・・・」
「薫殿はよく頑張った」
「慰めはいらないわ!」
「そのようなつもりでは」
「あんな負け方して私、最低だわ」
「そう気落ちすることはない」
「絶対に勝たなきゃいけなかったのよ!知っているでしょう?」
「相手が強すぎたのでござろう」
「いいえ。勝てる試合だった」
「しかし薫殿は全力を尽くした」
「そうとも言えないわ。もっと稽古していたら・・・ッ」
「あれ以上稽古したら体が壊れる」
「そうよ、もっともっと励むべきだったのに私ったら!」
「落ち着いて、薫殿」
「だって!・・・あっ」



ふわり。


「・・・この傷は?」
「つ・・・強く踏み込んだから・・・」
「手当てしなくては」
「へ、平気よ。このくらい」
「平気ではござらん!」



「薫殿の痛みは、拙者の痛みでもある」
「・・・・・」
「この悔しさを次回に繋げれば良い」
「・・・うん」
「竹刀は苦手だが、面打ちの相手にならいくらでもなるでござる」
「ほんと?」
「ああ」


「剣心」
「何でござる?」
「取り乱したりしてごめんなさい」



ぽんぽん。


「救急箱を取ってくるでござるよ」
「・・・ありがとう」


本当はもう傷なんて痛くない。
敗北による動揺も、妙なプライドも、
するする綺麗にすべり落ちてしまった。
優しい言葉と眼差しによって。


代わりに胸がずきずきする。
貴方っていつもそうよね。
魔術師みたいに私の心を操る。


ねえ、この痛みを癒せるのも、貴方しかいないのよ。