「そろそろ、いこうか」

その手を取った瞬間
伝わってきた温もりには、
確かに血が通っていた。

高鳴る鼓動が指を伝って
貴方に響いたらどうしよう、
と俯く私の思いも裏腹に、

ぎゅっと、強く、握られた。
それは紛れもなく男の人の手で。
優しい束縛にきゅんとする。

きっと石段が危ないからだわ、とか。
歩調を合わせてくれただけかしら、とか。

そんな雑念、今は忘れていいわよね?
期待しちゃうよ。あなたのせいよ。