「ちーっす」
「何しに来たのよっ」
「決まってんだろ。タダ飯だ」
「さも当然のように言うかしら?普通」
「細かいことは気にすんなって」
「まったくもう」


「おろ、左之」
「今日の献立は?」
「また食べていく気でござるか。まあ良いが」
「ったりめえだろ。他になんの用がある」
「稽古つけるとか掃除するとか、いろいろあるでしょ!」
「竹刀も箒もごめんだね。俺にはこの拳だけだぜ」
「ったく。こういう時だけ調子いいわよね」
「あ?嬢ちゃんこそ悔しかったら料理作れよ、自分で」
「私だって作れますよーだ」
「どこがだよ。じゃあ目の前にいるおさんどんは何だよ」
「これは、ほら、たまたま凄腕料理人が近くにいたから」
「毎日尻に敷かれるようじゃ料理人の名が泣くな」
「そんなことしてないもん!」
「うわっ。とんだ暴力女だな。おい料理人、お前も気をつけろよ」
「うるさいうるさいうるさーい!」
「悪いが痛くも痒くもねぇわ。猫パンチ以下」
「たあっ!」
「オイ、竹刀は反則だろ!」
「ふーんだ。竹刀を馬鹿にした罰よ」
「あらよっと」
「あ!返してよ!」
「ほーら。奪い返してみい」
「むー!」
「おチビさんには到底届かねぇな。ほれほれ」
「左之助ー!!」
「いててて、髪引っ張んなって」
「何よ、鳥頭のくせにっ」
「なんだよ狸娘」
「このこのこのっ!・・・きゃっ」
「おい、足元不注意だっt」


ひょい。


「「え?」」


「左之、今日は帰るでござるよ。お主の分は無い」
「あ?」
「薫殿。食事にしよう」
「え、ちょ、剣心?おおお降ろしてっ!」
「てめえこの、男に二言はねぇだろ!?」
「気が変わった」
「なんだと?この空きっ腹の胃袋をどうしろって・・・」


ギロリ。

「しばらく出入り禁止。分かったな」
「オ、オウ・・・」


(三十路で嫉妬かよ。マジ大人気ねぇ・・・)