「薫殿、起きるでござるよ。夕飯にしよう」

睫毛の先に、剣心の顔。きらめく西日が緋色を際立たせる。
ああそうだわ。私ったら稽古後にうたた寝しちゃったのね。


「幸せそうに眠っていたが、どんな夢を?」
「もう!寝顔なんて見ないでよっ」


カーッと熱くなる頬を抑える。
彼に見られていた。いつからかは分からない。
その事実だけでこんなに体温が上昇する。


「今宵も良い夢だといいでござるな」
ニコニコしながら手を差し出す貴方。
ドキドキしながら手を重ねる私。

剣心さえいれば、夢も現も幸せなの。
困らせたくないから言わないけれど。

寝ても覚めても、私は貴方のことばかり。