「じゃーん。妙さんが分けてくれたの。線香花火!」
「おお。これはまた風流でござるなあ」
「はい、剣心の分。一本しかないからなくさないでね」
「手持ち花火なんて何年ぶりかでござるよ」
「私も久しぶりだわ。なんだかわくわくしちゃう」


パチパチパチパチ


「きゃー、綺麗!炎で出来たお花みたい」
「なかなかの眺めでござるな」
「夏祭りの花火も迫力あるけど、こういうのもいいわね」
「ああ。どこか心が落ち着く」
「あ!すっかり忘れてた!」
「何を?」
「ほら、願い事かけなくっちゃ」
「線香花火に、でござるか?」
「そうよ。火の玉が落ちる前にお願い事をするの」
「ほう」
「ああ、だんだん小さくなってきたっ」
「急いで願掛けせねば」
「ど・・・どうしよう。いざとなると言えないわ」
「薫殿の場合、数が多すぎるのでは?」
「どういう意味よそれ」
「そ、そろそろでござるな」
「えっと、うーんと・・・」


ぽとり。


「わーーーー!落ちちゃったぁ!」
「おろ」
「もう!剣心が余計なこと言うから!」
「すまんでござるよ」
「あんなに綺麗だったのに、一瞬だったわね」
「ああ、短い命でござった」


はあ、とため息ひとつ。


「どうして終わっちゃうんだろ、何もかも」
「・・・・」
「消えないでほしいのに。続いてほしいのに」
「薫殿」
「ううん、終わりがあるから綺麗なのかもしれないわ」
「それは違う」
「そうかしら」
「永久に続く輝きも存在する」
「ずっと、永遠に?」
「ああ」
「嘘よ」
「嘘ではござらん」
「ふふっ。素敵ね、それ。見たことないけど」
「薫殿もきっと目にする時がくる」


そしてそれを教えてくれたのは、他でもない、君だ。